帰化申請

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帰化申請とは?

帰化申請とは、日本に住んでいる外国人の方が、日本国籍を取得するために法務局に対して行う申請のことです。

帰化が許可されると、申請者は以前保持していた国籍を失い、日本の国籍を正式に取得することになります。
これは申請者が日本での生活を永続的に選び、日本社会の一員としての責任と権利を完全に受け入れることを意味します。

この国籍の変更によって、外国人として必要だった多くの手続きや制約から解放されます。例えば、在留資格ビザの更新や一定期間日本を離れる際の再入国許可など、外国人としての滞在を継続するための煩雑な手続きが必要なくなります。これは日常生活をよりシンプルにし、行政的な手間やコストを軽減する大きな利点となります。

また、帰化することで日本人としての権利を享受することができるようになります。これには、選挙での投票権や公的サービスへのアクセス拡大などが含まれます。また、一部の職業やサービスにおいては、日本国籍を持つことが必要条件となっているものもあります。

帰化申請をする利点

帰化をすると次のような利点があります。

  1. 日本のパスポートを持つことで、多くの国をビザなしで訪れる自由が得られる。
  2. 再入国の際に特別な許可を求める必要がなく、出国と入国がスムーズになる。
  3. 政治的な権利として、選挙で投票する権利が与えられる。
  4. 外国人としての煩雑な手続きや届け出の義務が免除される。
  5. 住宅や車の購入の際のローン取得が容易になる。
  6. 職場での給与や待遇の向上が期待できる。
  7. 公務員としての採用のチャンスが増える。
  8. 親が日本の市民権を持つと、子供も帰化しやすく、日本の教育や就職の道が広がる。

永住申請との違いについて

永住者とは

永住者とは「永住者」の在留資格(ビザ)を持っている外国人の方のことをいいます。

永住者の方は、日本国籍を持ってはいませんが、退去強制という措置をされなければ、基本的には日本人と同様に日本で長く生活することができます
詳しくは下記ページにて解説しているのでご覧ください。

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帰化と永住の比較(メリット・デメリット)

永住者の方は、国籍を変更することなくほぼ日本人と同様に、日本で長く安定して生活していくことができます。

しかし、日本人と同じ義務を負うにもかかわらず、国家運営の基盤となる参政権(政治家を選挙する権利・政治家に立候補する権利)はなく、公務員になることもできません。

また、一部の金融機関では日本人に比べて、住宅ローンの審査が厳しいという点もあります。

日本で今後も長く生活していくにもかかわらず、帰化をしないのは不正解というわけではもちろんありませんし、帰化をすることが必ずしも正解というわけではありません。

帰化申請にあたっては、まずはご自身の今後のライフプランを考えてから、帰化をするのかしないのかを決めることをおすすめします。

帰化申請における申請要件

帰化申請では主に次のポイントを審査されます。

引き続き5年以上日本に住所を有すること

国籍法第5条1項1号に規定された帰化申請の条件です。「日本に5年間引き続き住み続けている。」という事だけでなく、申請者は申請内容からして今後も生涯日本に住み続けていくであろうことを法務大臣が客観的に思料できる内容でなくてはなりません。

したがって、特別永住者であっても日本に居住地を継続して維持していたとしても日本と海外を往来し、海外生活が長期に及び生活・仕事の拠点が海外にある方等で、将来的に日本を生活する拠点として客観的に見込めないと判断される場合には、「居住要件」を満たさないと判断されることがありますので注意が必要です。

能力要件

国籍法5条1項2号に規定された帰化申請の条件です。

帰化申請は成人しており「法的に単独で有効に法律行為をなし得る能力」を具備されていないと許可されません。

但し、未成年者であっても両親と同時であれば帰化申請をすることができます。
なお、十五歳未満の方は法定代理人(基本的に本人の両親)が代わって申請をすることになります。

素行要件

国籍法の第5条1項3号に明記されている条件です。

要するに、社会的に見て、誠実で正直な人物として認識されることが重要です。しかし、帰化申請が不許可となる方の中には、自分自身は正直に生活していると感じていても、審査を行う法務局の基準や一般的な日本人の視点からみると、その基準を満たしていないと判断される方がいます。実は、この「素行要件」は帰化審査において非常に厳しく、重要な基準となっています。

特に注意すべきは、帰化申請の際に正確な情報を提供することです。誤った情報や虚偽の内容を提供することは法律で禁じられており、もし後でその事実が発覚した場合、大きなトラブルやペナルティを受ける可能性があります。そして、そのリスクは申請者が生きている間、常に存在します。

したがって、申請内容に関しては十分に注意し、正確かつ誠実に手続きを進めることが大切です。また、帰化申請に関する手続きや要件は複雑であり、自分だけの判断で進めるのではなく、専門家に相談することをおすすめします。

素行要件

  • 税金を納めているか
  • 前科があるか
  • 交通事故を起こしたことがあるか
  • 交通違反をしたことがあるか
  • 社会に迷惑をかけるような行為をしていないか
  • 所得税、法人税に関し、重加算税、無申告加算税、過少申告課税が頻繁していないか
  • 出入国管理および難民認定法などに違反していないか
  • 暴力団に加入もしくは密接に関わっていないか
  • 許可及び登録を必要とする職業を無許可で行なっていないか

※上記チェックリストに該当する
場合であっても帰化申請が
全く出来ないわけではありません。
上記に該当し帰化申請できるかどうか
不安があるというお客様は当事務所まで
お気軽にご相談下さい。

生計要件

日本での帰化申請を考える際、生活の基盤がしっかりとしているかどうかが大切な要件の一つです。これは、自分自身の力だけでなく、家族や配偶者の収入、預貯金なども考慮されます。その証明として、収入や資産を示す書類の提出が求められます。

具体的には:

(イ)預金の状況 もし、あなたが会社に勤めていて、定期的に給与が預金されているならば、問題は少ないでしょう。仕事をしていない場合は、将来の職を見つけるための資金や、特定のスキルや経験が評価されることがあります。

(ロ)勤務の形態 正社員や契約社員としての勤務は問題なし。ただ、派遣社員の場合、地域や法務局によって、考慮される勤務期間や条件が異なることがありますので、確認が必要です。

(ハ)転職について 新しく仕事を始めたばかりや、これまでに何度も職を変えた経験がある場合は、専門家にアドバイスを求めると良いでしょう。また、転職する際には、適切な就労資格の確認や手続きが大切です。

思想要件

日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。

国籍法第5条1項6号に規定された帰化申請の条件です。

日本の国権を尊重することは日本人として当然のことです。日本の国権を脅かすような団体に所属していると帰化申請自体ができません。

つまり、申請者本人だけでなく申請者が暴力団関係者や右翼関係者と密接な関係にある場合が該当します。また、暴力団関係者だけでなく、傾倒する思想について暴力を含む過度の行動によって社会に対して主張を行う組織と深い関わりがあることは「思想要件上」不許可になります。

また、日本政府に対して過度の主張を行い日本の主権を脅かすような外国人団体において中枢となるような地位にある者も帰化申請できません。

国籍要件

日本国籍の取得と同時に、他の国の国籍を喪失することが要件となります。一定の国籍の場合は、帰化後にこれまでの国籍の離脱手続きをする必要があります。

なお、事情により国籍離脱手続きができない方は、その事情が考慮されこの要件は緩和されます。

憲法遵守要件

日本国憲法を遵守し、日本国の治安を乱さないことが要件となります。

暴力団組織やテロ組織に加入している場合は帰化申請が却下されます。

国籍法条文外の帰化申請条件

帰化申請書類完備条件

帰化申請を行う際には、必要な書類が多くあります。申請者の背景や状況によって、必要な書類の数や種類が異なります。一般の申請者の場合、60種類以上の書類(約120枚以上)が必要です。特別永住者や会社経営者の場合、それ以上の書類が求められます。

大事なのは、提出する書類と申請内容が一致していることです。まず、必要な書類を全て集めた後、その内容を確認しながら申請書類を作成することが大切です。

書類に不備や虚偽の記載がある場合、帰化申請は認められません。特に、虚偽の内容が後に発覚すると、法的な問題につながる可能性があります。

帰化は、国籍を変更する大きな決断です。そのため、書類の準備や記載内容には十分な注意を払い、慎重に進めることが求められます。

日本語要件

帰化申請の際、高度な専門用語を知っている必要はないものの、普段の会話でスムーズに意思疎通ができる日本語の能力が必要です。具体的には、日常の文章を読んだり書いたりすることができることが求められます。一般的には、小学校2~3年生くらいの日本語のレベルが必要と言われています。

たとえば、日本で学んでいたり、仕事をしている方の中には、日本語の能力試験である日本語検定N1やN2を持っている方もいます。しかし、試験に合格していなくても、実際の日本語の読み書きや会話の能力があれば問題ありません。

多くの人は、会話の能力はあるものの、読み書きが難しいと感じることが多いようです。

法務局での面談回数と内容

事前相談(初回面談)から申請書受付まで、法務局へ5回の訪問が基本です。

STEP
初回面談

帰化申請の条件などを確認されます。

STEP
2回目の面談

「帰化許可申請の手引き」をもとに、個別な必要書類の指示があります。

STEP
取寄せ必要書類の確認

申請者が作成すべき書類の指示があります。

STEP
書類の最終点検

帰化許可申請書の受付
※国籍証明書は、後日連絡があるまで、揃える必要はありません。

STEP
最終面談

今後のスケジュール等の案内

帰化許可がでるまでにかかる期間

帰化申請の手続き期間は、申請者の背景や事情によって大きく異なることがあります。

一般的に、申請受付から許可が下りるまでの期間は「1年程度」と言われています。ただし、これはあくまで目安であり、事例によってはもっと短い期間、例えば6カ月程度で許可が下りることもあります。

特に以下のようなケースでは、許可までの期間が短縮される可能性が高まります:

  1. 日本国籍の方との結婚:日本の国民と結婚している場合、その結婚を通じて日本の文化や生活様式に馴染んでいると判断され、帰化の審査がスムーズに進むことが多いです。
  2. 永住者・特別永住者:永住者や特別永住者としての在留資格を持っている人は、既に日本での長期滞在の経験や日本社会への貢献が認められているため、帰化の審査が迅速に進行することが期待されます。
  3. ご夫婦やご家族全員での申請:家族一緒に帰化を申請する場合、家族の結束力や日本社会への希望を強く感じることから、審査が前向きに行われることが多いです。

ただし、これらはあくまで一般的な傾向であり、個別の事情や提出書類の内容によっては期間が変動することもあります。したがって、申請を検討する際は、具体的なケースに応じた専門家のアドバイスを求めることをおすすめします。

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